「悪の芽」(貫井徳郎著)を読んだ

1年半ぶりの貫井徳郎の新作。発売日に買って、土日月の3日で読了。プロローグから強烈に引き込まれ、特に前半が面白くて一気に読み進みました。

ただ、最後のところがちょっと強引で、動機も弱く感じて腹落ちできなかったのが残念です。もっと激しいどんでん返しを期待しすぎたからかもしれませんが。。。物語としては、章ごとに視点(主語の人物)が代わっていますが、それぞれ独立して読んでも物語としては面白いので、全体的には高評価です。

 

過去の集団いじめのきっかけを作ったことと今回の事件のつながりを重荷に感じる主人公の思考(しかもそれによってパニック障害発症)が理解できない自分がいて、そういう意味ではいい環境で子供時代を過ごしたんだなと思いました。小中学の頃を思い出すと、喧嘩はあってもいじめはなかったし、先生も目を(必要以上に?)光らせていた印象です。

 

それ以外の細かい描写で、ネットいじめなど心に刺さることは多くありました。特に親子の関係や心情の描写は、近い将来親として大人になった子供と相対することを想像しながら読み、自分ならどう思うのか自問自答しました。

子供が犯罪を犯しても、それは成人だから親は関係ない、という考え方は賛否両論がありそうです。自分自身は、親はいい影響も悪い影響も与えうる存在であり、子の人格形成がされる上でそれが関係ないことはないだろうという考えです。

子の罪はいつまでも親に責任があるとまでは言い切れないとは思いますが。

 

全体の作りが「乱反射」に何となく似てると思ったところ、ご本人のブログにも乱反射系の話になったとあったので、距離感が近づいたようで嬉しかったです✌️