「白い闇の獣」を読んだ

伊岡瞬著。書き下ろし。

舞台は2000年と2004年。その時代を20代で過ごしたので、表現など懐かしい部分はあった。

 

なんともすごい本でした。読むのを止められず、ほぼ2日で読み切ってしまいました。。。

悪い話ばかりなのに、嫌にならずに引き込まれて読むのが止まらなくなる、自分の中で伊岡瞬の作品はそういう内容のものが多いですが、今回は一二を争うものでした。

 

不幸な話が連鎖しまくる、復讐していた人が意外なところにいた(その経緯も酷いもの)、自らを犠牲にしながら殺人を犯す主役?など、こんなの現実にあるのかという話ですが、現実感を損なわずに表現しているのはすごいとしか言いようがない。

この話の大きな謎は復讐していたのが誰か?、秋山の正体はというところかな。後者は大体の人が気がつきそうですが。あとは北原香織は相当美人で色気もあるんだろうな、といったところか。描写は全くなく、周りの人のセリフから想像するしかないのですが。最後幸せになって終わる雰囲気で、まあ良かったのかな。

 

感想メーターを見ていると香織に対する嫌悪感が強い人が多いんだなと思いましたが、自分はあまり嫌悪感を感じなかったのは、許容範囲と思っているからなのでしょう。あの事件がなければ、俊彦とはその後なんもなかったと思うので。

香織を批判を受けそうなキャラクターに表現したのも作者の狙い(人によって見え方が違う)に思えてきました。