「田沢湖からの手紙」を読んだ

田沢湖殺人事件」が原題。中町信作。

舞台は昭和57年、東北新幹線(当時は盛岡ー大宮)が開通した年の秋田、盛岡。

中町信の作品は十数年前に過去の作品が再版された際に読んだ。叙述トリックが巧みで、当時ハマり始めていたので、2冊くらい読んだと思う。模倣の殺意かな。

 

この作品は登場人物がことごとく自殺、他殺、事故、病気で都合良く死んでいく(既に死んでいる人も含む)という恐ろしい話でした。もちろん、殺人犯人を追っていくストーリーなのだが、二転三転した挙句、事件が一つではなかったり、最後には真犯人(と言っていいのか。。。)も自殺するという、なんとも救いようのない話。それを除けば、トリックも叙述も巧みで、怪しいとは思いつつ途中まで騙されました。それにしても、かなり最初の方に伏線(渡されたはずのフィルムの話に一切触れない)があって気にしてたんだけど、最後までつながらずでした。あの時点ではこの人が犯人とは普通思わないから、そこが叙述トリックの肝なのでしょう。

 

新幹線でタバコ吸ったり(確かに吸えてた)、公衆電話使ったりする場面に懐かしい時代を感じました。盛岡から東京行くのに、大宮で乗り換えたなーなんて。そのあと上野まで伸びて最後は東京、そしてこまちができて青森まで伸びて、函館まで行けるようになってますね。この40年で。

盛岡の中央病院が出てきたのも不思議な感じでした。なにしろ実在する(出身高校のすぐ近く)、当時はうちの近くにあったはずなので。

 

小説も面白かったけど、盛岡が登場するのも嬉しくて一気読みしてしまいました!人がいっぱい死ぬことを除けば、おすすめできる本です。