「「私」という男の生涯」を読んだ

石原慎太郎著。本人と妻の死後に出版することになっていたという。図らずもお二人とも今年亡くなったので、本人の仕事半年も経たずに発売されたよう。

 

独特の文体で、同じ話が何回か出てくるなど、読みにくいところはあったが、最後にこんなに好き放題書いて終われるのは幸せなのかと思う。側から見てると、政治家としても作家としても好き放題やっているように見えていたので(実際はわからないが)、敵は多かったはず。

ただ、私は石原慎太郎の発言(わけのわからないときもあったと思うが)や、行動の裏に狡さとか悪どさを感じない、純粋にやるべきことに向かって(遊びながら)突き進んでいるように見えたので、政治的なスタンスに是々非々はあるものの好きな政治家、作家だった。なぜか、この人が言うなら仕方ないと思わせてくれる人だった。

 

戦前、戦中、戦後の少年時代、大学生そして作家としてのデビュー(俳優も)、政治家と、本人の色々な立ち位置からの振り返りは暴露もあって興味深かった。その裏には常に、好色、海があり、即ち本能のままに行動していたのかとすら思った。

さらっと書いていたが、空襲など戦争のことにも触れていたので、体験した人の貴重な話だと思う。

 

政治の面では、中川一郎に触れたところが、ぼやかしているので、本当のことを知らないか書けないかは分からないが、背景を知らなかったので、これも衝撃を受けた。あと、鈴木善幸を暗愚とはっきり書いてたな。。。

 

石原慎太郎を初めて認識したのは、総裁選に出た時と記憶しているので、平成の初めか。(裕次郎はそれより前に知ってた)それから、議員を辞職し、突然都知事になり大暴れして、最後は衆議院に返り咲いた。やはり、一議員より都知事のようなトップのほうが存分に活躍できる方だったのでしょう。

一つの時代が終わったことを実感します。