「奔流の海」を読んだ

伊岡瞬著。文庫本最新作。追いついたらハードカバーにも挑戦したいが、もう少し。

 

(ネタばれ?)

序章の不穏な終わり方と、本編のややのどかな始まり方と、なかなかつながりがそうぞうできなかったが、裕二側の幼いころからのストーリーが徐々にリンクしていき(車に当てられるのは読んでてきつかった)、最後に完全につながるという流れでした。

裕二の悲惨な生い立ちからの奇跡的な幸福な生活、しかしその後矢木沢と出会ったことがきっかけで義父の隆を疑い始め、結果的に矢木沢からヒントをもらいながら、自身の出自を突きとめる、というのがざっくりとした裕二側のストーリー。

その後千遥側のストーリーに登場して、、、最後の後押しをしてもらって、ハッピーエンドの流れ、ですね。

 

赤ん坊の取り違えなんてあり得ないと思うけど、わかっててやったような今回の流れであれば、災害の大混乱の中では起こりえただろうとは思います。今ならDNA鑑定で一発だけど、時代が違うし。裕二(皓広)の父は真相を知らず、千遥の父は娘の幸せを知らずに亡くなってしまっているのもやむなしとは言えず悲しいもの。

隆も千遥の父も事故ではあるけど、これは何か裏があるのかしら。特に千遥の父については、盗難車だとか匂わせもあったので気になります。

 

最後の織姫座で皓広がすべてがつながったと感じていたが、それ以外にこの話のキーワードとなったのは、お守り、他の星座(M75星雲も)、あとはやはり海でしょうか。

さらに言うと、上の感想が物語っていますが、親と子の関係ももう一つの大きなテーマでした。